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月別アーカイブ: 2025年4月

第12回産業用機械雑学講座

皆さんこんにちは!

TMA株式会社、更新担当の中西です

 

さて今回は

~設計~

ということで、産業用機械設置工事における設計フェーズの考え方と実務のポイントを、5つのステップで深く掘り下げてご紹介します♪

 

工場やプラントの稼働を支える産業用機械。生産ラインにおいて、その設置場所・条件・周囲との関係性は、単に設備の配置にとどまらず、品質・安全・生産効率・省エネ・作業者の快適性すべてに関わってきます。

つまり、産業用機械の設置とは「置くだけ」ではなく、精密に設計された“動く空間”を作ること


🏗 1. 計画設計フェーズ:目的と全体構成を描く

設計の第一歩は、「なぜこの機械を導入するのか」「どこにどんな効果をもたらすか」という目的の明確化です。

✅ 確認すべき項目

  • 生産能力とサイクルタイムの向上

  • 工程の自動化・省人化

  • 既存設備との連携可否(通信・制御系統)

  • 将来的な拡張性・柔軟性の検討

ここでは、機械の仕様書(設置条件・寸法・動作範囲)を入手し、以下の設計要素の全体像を描きます。


📐 2. レイアウト設計:空間をどう使うかを最適化

◯ 機械配置の原則

  • 作業動線の効率化(材料の流れ、人の流れ)

  • メンテナンススペースの確保(点検・修理用)

  • 他機器との干渉回避(扉の開閉・アームの動作範囲)

◯ 搬入・設置性の検討

  • 搬入ルートの障害物(梁、柱、扉幅)

  • クレーンやフォークリフトの可動範囲

  • 一時的な間仕切り撤去や仮設床設置の要否

◯ 清掃性・作業者の快適性

  • 機械の背面や床下の清掃スペース

  • 作業台の高さ、照明条件、排気方向など人との関係性も設計の一部

📌 2D図面だけでなく、3D CADやBIMツールを用いた立体的シミュレーションが有効です。


⚙ 3. インフラ設計:機械を「動かす」条件を整える

◯ 電気設計

  • 電源容量(200V/400V、高圧/低圧)

  • 専用回路の必要性と分電盤の空き状況

  • ノイズ対策、アース(接地)設計、制御信号配線ルート

◯ 空気・油圧・水配管設計

  • コンプレッサー容量とエア圧損

  • 油圧ユニット設置スペースと振動対策

  • 冷却水・温水・排水配管の経路と勾配計算

◯ 排気・換気・空調との連携

  • 熱を持つ装置は周囲の空調負荷に影響

  • 局所排気装置、集塵機との連動設計

  • クリーンルーム対応設備は気流設計と防塵管理が必須


🛑 4. 安全設計と法令遵守

産業用機械の設置では、労働安全衛生法、建築基準法、電気事業法、消防法など、複数の法規制が関係します。

◯ 主な確認項目

  • 安全柵・非常停止ボタン・インターロックの設置

  • 高所・落下物リスクの対策(ステージ設計、墜落防止)

  • 作業エリアの照度・騒音・温度環境

  • 火気使用時の防火・避難経路設計

📌 必要に応じて機械安全指針(ISO12100など)やCEマーキング対応設計も行います。


🔧 5. 保守・運用を見据えた設計

設置後の「使いやすさ」「保守のしやすさ」も設計の重要な要素です。

◯ メンテナンス空間の確保

  • カバー開閉、部品交換、清掃ルート

  • 消耗品のアクセス性(フィルター、油、切削液など)

◯ 保守履歴とデジタル連携

  • QRコードによる図面・マニュアル連携

  • 記録システム(点検記録・異常履歴)の設計段階での整備

  • IoT対応(センサーデータ→PLC→管理システム)への配線・設定設計


✅ 産業用機械の設置設計は“設備の命を吹き込む仕事”

設計とは、単に「図面を描く」作業ではなく、生産性・安全性・操作性・整備性・将来性までを見据えて、空間と設備を“生かす”行為です。

適切な設計がなされていなければ、いくら高性能な機械でも、稼働率は上がらず、生産性も安全性も損なわれます。


🎯 設計で意識すべき5つの柱

分類 主な確認ポイント
計画 目的、工程内の位置づけ、拡張性
レイアウト 動線、干渉、搬入経路
インフラ 電源、空圧、水、排気
安全 法令、緊急時対応、保護機構
保守 点検性、整備空間、記録性

 

 

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第11回産業用機械雑学講座

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さて今回は

~確認事項~

ということで、機械設置工事を行う前に必ず確認すべきポイントを、5つのカテゴリに分けて詳しく解説します。現場トラブルや納期遅延、設備トラブルを未然に防ぐための“備えの知恵”として、ぜひご活用ください♪

 

産業用機械の設置工事は、単なる「据付作業」ではありません。それは、生産ラインの起点であり、品質・安全・生産効率を大きく左右する極めて重要な工程です。

工場やプラントに導入される産業機械には、多くの種類があり、精密加工機械、搬送装置、食品・化学のプロセス設備など、使用目的や設置環境に応じて高度な準備が必要となります。


🧭 1. 設置計画とレイアウト確認

◯ 設置位置の確定

  • 搬入可能か?

  • メンテナンススペースは確保されているか?

  • 他の設備や通路との干渉はないか?

📌 2D図面だけでなく、3Dシミュレーションによる動線確認や搬入経路の干渉チェックも有効です。

◯ 基礎設計との整合

  • 機械荷重、振動、レベル出しの必要性

  • アンカーボルト位置、耐震構造の確認

  • 機械図と基礎図のズレがないかをチェック

→ 特に重量機器や精密加工機械では、±1mm以内のレベル精度が求められるケースもあります。


🔌 2. インフラ確認(電源・配管・空調など)

◯ 電源条件の確認

  • 三相200V?単相100V?それとも高圧受電か?

  • ブレーカ容量や盤の空きは十分か?

  • 始動電流・定格電流・突入電流に対応できるか?

⚡ 周波数(50Hz/60Hz)や海外機器の対応も要チェックです。

◯ 配管・エア・給排水設備

  • コンプレッサーや冷却装置との接続位置

  • 冷却水、排水、蒸気などの系統図の整合性

  • パッキン・ホース材質は使用液体に適合しているか?

◯ 空調・換気・排気設備の確認

  • 発熱量が多い機器では空調負荷の見積もり

  • 有機溶剤や粉じんを扱う場合は、局所排気やダクト接続が必要


🧰 3. 搬入・設置方法の確認

◯ 搬入ルートの確認

  • 工場入口の間口、高さ、段差のチェック

  • 搬入口から設置場所までの動線上の障害物(梁、配管、機器)

  • 搬入機器(フォークリフト・クレーン・ユニック車)の手配

✅ 特殊重量物搬入では「仮設ステージ」や「ローラー搬送」などの事前工法検討が必須です。

◯ 設置方法とレベル調整

  • 振動を防ぐためのアンカー固定防振ゴム・基礎パッドの選定

  • 機械の水平出しは水準器 or レーザー測定器で精密に実施

  • 油圧・空圧機器の初期圧力調整の手順を確認


🛡 4. 安全対策と作業体制の確認

◯ リスクアセスメントの実施

  • 転倒、落下、感電、火災のリスク評価

  • 作業区域の立ち入り制限と危険表示

  • 重量物作業時の玉掛け資格者・指揮者の選任

◯ 作業者の資格・教育

  • 電気工事士、ガス溶接、フォークリフト、クレーン、玉掛け、酸欠作業主任者など

  • KY(危険予知)活動・作業手順書の事前共有

◯ 緊急対応の確認

  • 停電・漏電・火災・油漏れ時の対応マニュアル

  • AED、消火器の配置、避難経路の確認


📋 5. 試運転・引渡し前の確認事項

◯ 試運転・立ち上げ条件の確認

  • 電気・空圧・冷却など全系統が通電・通水されているか

  • 初期設定、パラメータ入力のサポート体制

  • 各種インターロック・センサー・非常停止ボタンの動作確認

✅ 特に自動化設備ではPLC(プログラマブルロジックコントローラ)連携シーケンス制御の調整が必要な場合があります。

◯ 取扱説明・保守マニュアルの確認

  • 操作方法、安全確認項目、日常点検の教育

  • 保守契約内容、点検周期、消耗部品の交換計画

◯ 引渡し検査と記録の整備

  • 検収書の署名・検査チェックリストの保管

  • 設置図、電気配線図、マニュアル類のファイリング

  • メーカー保証の適用条件も確認


✅ まとめ:産業用機械設置の成否は“事前準備”が9割

設置後に「この配線が足りない」「このスペースでは扉が開かない」といった事態に陥ると、納期の遅れ、トラブル、そして余計なコストが発生します。

だからこそ、産業用機械の設置工事では、機械そのものを理解し、現場環境を読み、関係者全員でリスクを想定し、共有することが成功のカギです。


📝 事前確認チェックリスト(抜粋)

項目 内容
設置場所 レイアウト、基礎、干渉
電源・配管 電圧、容量、接続位置
搬入計画 経路、機材、搬入日
安全対策 資格者、リスクアセスメント
試運転 通電、制御確認、教育体制

 

 

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